Almaprism株式会社(以下「当社」)は、このたび、第三者割当増資により1.5億円の資金調達を実施いたしました。本ラウンドでは、リードインベスターであるSBIインベストメント株式会社に加え、京都キャピタルパートナーズ株式会社、株式会社京信ソーシャルキャピタルを引受先としています。
資金調達の背景と目的
今回の資金調達により、当社の開発する、子どものADHDに向けたプログラム医療機器「AP-ARC-01」の臨床試験開始、または本コア技術を用いたコンシューマアプリのβテスト試験に向けた準備を進めてまいります。
Almaprism 糟野新一のコメント

この度、3社の皆さまより多大なご支援をいただいたことを、心より感謝申し上げます。
私たちが取り組んでいる精神医療の分野は、未解明な点も多く、特にADHDなどの神経発達症を抱えるお子さんに対しては、日常生活での困りごとがありながらも、体系的な治療や支援が十分に行き届いていないのが現状です。
そうした課題に対し、私たちは「ビデオゲームの技術を応用した新しい医療」の可能性に着目しました。遊びの中で自然に引き出される行動データを活用することで、従来の枠を越えた科学的アプローチが実現できると信じ、日々研究開発に取り組んでいます。
今回の資金調達を通じて、医療機関との連携による臨床試験に加え、地域に根ざした実証実験を重ねることで、本技術が、困りごとを抱えるお子さんだけでなく、医療機関やそのご家庭にも根付いていくよう、取り組みを一層加速してまいります。
エビデンスに裏打ちされたソリューションを、一人でも多くのご家庭と医療現場へ届けるため、引き続き尽力してまいります。
投資家からのコメント
SBIインベストメント株式会社
マネジャー 小澤 将一

近年、ADHDは社会的に認知が広がりましたが、一方で障害ではなく個性として捉える考えもあり、診断を受けた方も不自由なく社会生活を送る人も多々います。重症度の違いはありますが、ADHDの多岐にわたる特性のうち自身やその周りがどれに当たるかを理解することが重要であると言われています。しかしながら、専門医による診療を受けようとしても、現状の多くの医療機関では受診までは数ヶ月間待つ必要があり、適切な医療にアクセスすることが困難です。この課題を解決することで、いち早くADHDの方が不自由ない社会生活を送れるためのソリューションを開発されているAlmaprism社に共感しこの度投資に至りました。
ビデオゲームを楽しみつつ操作情報を医療に還元するというアプローチは画期的であり、日本のみならずグローバルでも普及されるものであると信じております。
今後もSBIグループを通じAlmaprism社を支援致します。
京都キャピタルパートナーズ株式会社
プリンシパル 栁 学理

「グローバルに通用するプロダクトを京都の町で検証して作りあげたい」、そんな糟野CEOの強い思いを形にするご支援をさせていただきたく、投資に至りました。
少子高齢化が加速する日本において、将来の生産年齢人口を形成する子どもの健やかな成長支援は喫緊の課題です。その中で重要な施策の一つが、子どもの個性と社会から求められる素養とのミスマッチの解消だと思っています。
Almaprism様のプロダクトは、日本の小児精神科医の医療現場の構造的な問題を解決し、あるべき心理社会的治療の姿を示すものです。今後は更なる科学的なエビデンスを着実に集積しつつ、コンシューマアプリとしての展開と相性の良いビデオゲームの持つポテンシャルを掛け合わせることで、医療機関も親御さんも安心して使っていただけるプロダクトに磨き上げられていくものと期待しております。
株式会社京信ソーシャルキャピタル
代表取締役 国本 丈弘

弊社は京都信用金庫の子会社VCとして、社会課題の解決や地域活性化に資する事業を応援しております。
日本の医療現場ではADHDの専門医不足や診断の困難さが治療の遅れに繋がっているといわれています。また医療機関受診の抵抗感も根強く、多くの潜在患者を生み、特に幼少期の子どもたちが「生きづらさ」を感じていることは大きな社会問題であると捉えています。
Almaprism社のプロダクトはビデオゲームを用いた診断がユニークかつ子どもが没入するという点で、診断ツールとして理にかなっていると評価しています。これらの社会実装を通じてADHDに対する理解が進み、ノーマライゼーションな世の中に繋がることを期待しております。
ADHDについて
注意欠如・多動症(Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder:ADHD)は、不注意・多動・衝動性を特徴とする最も有病率が高い神経発達症であり、これらの症状に起因し、社会生活における様々な困りごとや問題が発生し、それらの困りごとに対して効果的に対処できないまま成長すると抑うつや薬物依存、交通事故などの様々な二次障害につながることが判明しています。ADHD に起因する本邦における経済損失は年間 1 兆円に上るとされている一方で、早期、特に小児期における適切な介入で困りごとを解決することができれば二次障害を回避し良好な予後に向かえることも報告されています。
介入においては薬物療法だけでなく本人の特性や強み・弱みにあわせた心理社会的治療の提供が学会や診療ガイドラインにおいても標ぼうされていますが、客観的な判断方法が確立されていないため、医師は治療方針を決める上で主観的な判断に基づき試行錯誤して治療方針を提案せざるを得ず、患児に適した治療を提案するまでに長時間を要します。結果、ADHD を有する患児に対しての介入が遅れ、予後の悪化、待機時間の増加、業務のひっ迫につながっています。国内には推定 50 万人の学齢期の ADHD 患児がいることが予想されますが、子どものこころの専門医は 約900 名しかおらず、適切な治療を受けられていない「グレーゾーン」とされる子どもが多いことが現状です。
プロダクトについて
当社はこれまでに、ビデオゲームの開発技術を応用したデジタルタスクにおいて、ADHDの患児を含む33名の参加者を対象とした探索的研究を実施し、本タスクによってADHD症状に関連する複数の認知機能を短時間かつ同時に測定可能であることを明らかにしました。患児の行動データを多角的に解析することで、より包括的な認知機能の把握が可能となります。
今回の資金調達を通じて実施する臨床試験では、本技術が医療機関および医師が直面する課題の解決に資するかを実証し、本邦における新たなプログラム医療機器としての承認取得を目指します。これにより、ADHD治療への具体的な貢献を果たす所存です。
さらに、現在治療を受けられていない、グレーゾーンの未診断児やそのご家庭にも届くよう、どこでも利用可能なコンシューマ向けアプリケーションの開発も計画しております。すべてのADHDに関わる医療現場・家庭に対して、適切な治療・支援が行き渡る社会の実現を目指してまいります。
Almaprism株式会社について
Almaprism株式会社は、ビデオゲーム開発におけるインタラクティブ技術や体験設計の知見を応用し、次世代のデジタル医療を創出する分野横断型のチームです。
当社は、名古屋大学および浜松医科大学と共同で、日本医療研究開発機構(AMED)の医療機器等研究成果展開事業「ビデオゲームを用いた実行機能介入による注意欠如多動症の治療機器の研究開発」の支援を受け、プログラム医療機器の製品開発および技術シーズの実証に取り組んでまいりました。現在は、その技術基盤をもとに、医療・教育・テクノロジーの専門家が連携し、誰もがアクセスできる持続可能なケアの実現を目指しています。
詳細は公式ウェブサイト(https://almaprism.com)をご覧ください。
以上
本件に関するお問い合わせ先:
Almaprism株式会社
contact@almaprism.com